[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0529 失脚

 

 考えることに疲れたというより、考え”させられる”ことに疲れている。そこに主体性は存在せず、どこまでいっても受動的なのだ。誰かになにかを組み込まれたとしか思えない渦巻くそれの正体は、世の中の常識ばかりに捉われている。

 

 過渡期、周りから誰も彼もがいなくなってからが本番だ。いつの間にか白い空間に座り込んでいたわたしは、心にぽっかりと穴が空いている。なにを落としてもその穴は埋まらなくて、自分自身でもどうすればいいのかわからないでいる。わからないから、消えたいのか。消えたいままだから、わからないのか。それすらも理解できないまま、今日のなかを彷徨うばかりで。

 

 なにを見ても滑稽に感じる、随分と感性が停滞しているようだ。俯いたままの君は、あの頃のわたしと重なって、幾度となくこの首を絞めようとする。人がいなくなって、なにもかもが無くなって、最後にはわたしの存在がいなくなる。そんな未来を想像しながら、薄ら笑いを浮かべている。どうすればいいのかがわからない。何もしないことが正解だったら楽なのに、それは大きな誤りだと感じている。母の名を呼ぶ、空間に声だけが響いては消える。自身の名を問う、死んでしまえと嘲笑う声が聞こえる。これまでの全てにありがとう、私よ、友よ、失った最愛と。