[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0348 感覚過敏

 

 いついなくなっても、そこから消えることばかりが頭に浮かんで、人間の生存本能とやらを疑いたくなる。生きるために生きてる、そのために死に向かってる。なんだかおかしい気がするけれど、構図がスッと胸の中に溶け込んでゆく。上手く言えない、適切な言葉が見つからない、一人で生きていくには満たされた環境、世界からの恩恵、こんなに幸せでいいのわたし。ちょっとずつフルーツナイフで皮膚をそぎ落とす、だって大きすぎる幸は怖いじゃない、そんなにも受け取れないよ資格がない。嬉しいね、今日も目覚めて日が昇る。べつに目覚めなくてもかまわないのだけれど、正常に心肺が機能している。この感覚をどう表せばいいのだろうか、まるで自分が無機物にでもなったような、そんな感じがする。それは道ばたに捨てられたゴミ、はたまた公園に咲く野花。容姿の美醜はどうでもよくって、心がそれだけの質量を有していれば、それ以外は何もかもが平等。痛々しいかな、それでもわたしはそう思うのだから仕方ないよね。受け取れないほどの充足は、いつかあなたに手渡したい。どうかそれまで待っていて、わたしのことを忘れないで、思い出してすこし微笑んで木漏れ日。日に焼かれてぐったりしているわたしの元に、たくさんの雨を降らしておくれ。真夏日の木陰で話したこと、ずっといつまでも叫んでる。待っていてね、7月と憂鬱、雨模様、傘。