[No.000]

日記以上、遺書未満。

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

N.0325 いなくなった後のお片付け

気が付けばたくさんの人がいなくなってしまった。そのように錯覚しているその実は、自分が違う場所に移動しただけなのに。大切なひと置き去りにして、離れた場所まで歩いてきた。もう後戻りはできないとわかっていても、踏み出した一歩を切り落とすことは難…

N.0324 沈静な香り

なんだか懐かしい香りがした。冬の冷気に包まれたそれは、優しくわたしを包み込む。必要なものを必要なときに取り出せるように、人は意識的に香りを纏うのかもしれない。自分のかたちを色鮮やかに模るために一つの香水瓶を選ぶこと。わたしがいなくなったあ…

N.0323 質素に散れば

ちょっと頭のなかがごちゃごちゃとしてきた。落ち着いて周りを見渡してみると、部屋には幾つかの物が散乱しているのだった。元々、所有物が少ない方ではある。動き始めれば数分足らずで部屋のなかが片付くのだけど、なかなか心に馬力がかからない時、ありま…

N.0322 或る一日、

アラーム無しで目が覚める。快眠明けの朝、コーヒーを飲みながら書く文章は格別である。身に染みる寒さが心の速度を上げていくようで、これだから冬が大好きなのだった。生きていることを実感する方法の一つに「痛み」をあげるとすれば、低い気温もまたその…

N.0321 遅咲きのカタルシス

急に心の中から毒素が抜けたような、この感覚は一体どこからやってくるのだろうか。いっそ清々しいまである、いまの心境に名前をつけるならば「愛」になる。気持ち悪い、年に数回このような感覚に包まれて、これまでの自分が私自身ではなかったみたいだ。こ…

N.0320 親密な紡ぎ糸

「ちょっと、あれどこいったか知らん?」 「なぁなぁ、この後あれ見に行かへん?」 「あれほんま美味いよなぁ、名前思い出されへんけど」 これは関西人特有のものなのかもしれないけれど、固有名詞が存在しなくても、何となく会話として成立することがある。…

N.0319 部屋の中に響いた声

現在、わたしは一人暮らしをしているのだけれど、「いってきます」と「ただいま」を声に出すようにしています。そうした方が心に優しい、となにかの本で読んだことがきっかけで始めたことが、いまではすっかり習慣となっている。効果があるのかと問われると…

N.0318 生活を愛する者

最近思うようになったこと、わたしは生活を積み重ねるのが好きだ。 これまでの行動が積み重なって現在の自分自身がつくられている。自分自身を一新したい時、過去をやり直すことはできないから、いまこの瞬間の行動を変えることが大事になる。寧ろ、それ以外…

N.0317 一方通行の手紙

気持ちを伝える手段として、手紙を書くことが好きです。上手くペンが握れなくて、決して字が綺麗なわけではないけれど、自分が書く字も中々気に入っています。スマホでのフリック入力やキーボードでのタイピング入力も便利で素晴らしいけど、やっぱり、想い…

N.0316 惨敗は成功の種

ほんの些細なことが気になる日、見えないものが気になる日、五感が鋭敏に暴れ回る日。予告なしに不安定を曝す情緒、その一日はずっと暗闇の中を歩いているみたいで、なんだか生きている心地がしない。そういう時、みんなはどうしてるんだろうか。それでも働…

N.0315 それは小さな生命

先日、友人と、友人のお子さん(一歳半)、自分の三人で散歩をしていた。隣では一歩、また一歩と小さな足を一生懸命に踏み出している。歩幅は小さいのだけれど、思っているよりも歩くスピードは速かった。自動販売機に夢中になったり、カフェが飼育している…

N.0314 価値観の暴力

いろんな人と話して、多彩な価値観に触れることが好きです。 どんな人にもその人なりの価値観があって、その感覚に従って様々な感情が発生している。いかなる時も芯にあるものは変わらない、なんてことはなくて、日々少しずつわたし達は変わっていく。それは…

N.0313 深い海と見えない星

たとえば、あなたが泣いたままの夜空の下では、ほかの理由で泣いているひとがいて、それをみて笑っている人もいる。十人十色の生き方を、間違えないように愛することは不可能だった。艶っぽい色彩が落ちる涙を包みこむ。ウイスキーに一滴垂らせば、それだけ…

N.0312 カラスが鳴く

夜と朝の中間に、カラスの鳴き声で目が覚めた。外はこんなにも冷えているのに、彼らは一生懸命に鳴いている。美しい羽毛に包まれているから、寒くはないのだろうか。もし少しでも寒さを感じたならば、体温は身を寄せ合うことで解決する 屋根のある家で眠るこ…

N.0311 ストロングゼロと幸福論

「あー、お酒飲みたい」って思う時、頭に浮かんでいるのは大体ストロングゼロ(ドライ)のロング缶で、これってもはやお酒が飲みたいんじゃなくて、ストロングが飲みたいだけなんじゃないか? と思うようになってきた。 四捨五入すれば麻薬、超絶安価で売ら…

N.0310 memai.

好きなバンドが解散した。今年に入って、一番聴いていた曲、それを生み出した人たちが散り散りになっていく。一人でなにかをつくるよりも、複数のエネルギーを掛け合わせた方がより大きな作品を生み出せる。それ故の方向性の違い、それ故の、大きな別れ。 痛…

N.0309 誰もいない帰り道

最近、誰かと別れたあとの帰り道がとても悲しい。 寂しいとか虚しいとか、そういう次元ではなくて、もはや自分の中身が完全に空っぽになるというか、宙に浮いたままの感情がわたし自身を見下している。嗚呼、早く一人の空間に閉じこもりたいとは思うのだけれ…

N.0308 そんなに急いでどこに行くの

人生の中で唯一目標としていること、それは急がないこと。 このブログでは何度か書いているが、わたしはどうしても急ぐことが苦手なのだった。急ぐのが得意な人というのも珍しいかもしれないけど、とにかくわたしはできる限り急ぎたくない。「人生、のんびり…

N.0307 不確実な道筋

寒さが増してくると、不意に過去の記憶がブワっと湧いてくることがある。この瞬間まで完全に忘れ去られていた過去。関係性など何もないのに、なぜ今になって出てくるのか。不思議でたまらないけれど、それは確かに存在した過去に間違いはなくて、その間違い…

N.0306 繰り返しの美学

会社での休憩中のこと。二人の先輩との会話の流れで、互いの良いところを挙げることになった。先ずはわたしが先輩のすごいと思っている部分を言う。一人の先輩には「生まれながらにして人から愛される天性の愛嬌」、もう一人に対しては「圧倒的に輝くセンス…

N.0305 伝えないままのありがとう

「ありがとう」という言葉が好きです。ありがとうを言わない人が嫌いです。言えないのではなく、それはあくまで言わないだけであって、上手な伝え方を知らないだけ。寧ろ下手くそでもいい、そこには必ず可愛らしさが存在するから。義務的に感じる必要はない…

N.0304 憩いの場もやがて消える

どうしてもスコッチが飲みたくて、BARにきた。ついでに文章でも書いとこうかな。バーテンダーと話さない為の言い訳で身を固める。本当はボーッと天井とか眺めていたいんだけど、そういうことしてると手持ち無沙汰なのだと思われて、気を利かせたバーテンダー…

N.0303 それは思わぬ落とし穴

ぐっすりと眠れた。ストレッチをした。運動をした。良い食事をした。お酒を飲まなかった...etc。身体に良いとされていることをこれでもかと存分に達成しているはずなのに、それなのに、心が落ち込むことがある。 音楽を聴いてリラックスするとか、アロマの香…

N.0302 明るく軽やかな噂話

本人のいない場所で、個人的な鬱憤を言葉に乗せて盛り上がる。 自分はどうも陰口というのが苦手なのだった。陰口を言うのはもちろんのこと、周りの誰かが言っているのを聞くのも苦手だ。なぜか敏感に耳がキャッチしてしまって、幸せではなくなる。自分が悪い…

N.0301 都会の夜に浮かぶ星

なんだか突然しんどくなって、どうにも心が重い時には、一度立ち止まって空を見上げてみる。 空を見上げる、メンタルヘルス系の書籍によく書いてある。「キレイゴトかよ」って昔は思っていたのだけれど、年齢を重ねるにつれてその真理を体感するのだった。ス…

N.0300 月明かりの食卓

長いこと一人暮らしを続けていて思うのだけれど、だれかと一緒にご飯を食べることって、実はものすごいことなんじゃないか。最近になって、その思いが一段と強くなった。 同じ料理でも、一人で食べるのと、だれかと一緒に食べるのとでは、全く味わいが異なる…

N.0299 艶やかな残香

人間の魅力というものが、資産とか、生殖能力の高さとか、そんなもので決まってしまうのなら、わたしはこの世界そのものに対して、魅力を感じないまま枯れるだろう。 いついかなる時もご機嫌な人の余裕的魅力、容姿は全く魅かれないのに何故か耳が求める声帯…

N.0298 きっと、それでも大丈夫 

大好きな知人が「お酒を飲んだ状態では何もできなくなるよなぁ。その状態で文章を書いたり出来る人ってどうなってるんだろう」ということを仰っていました。だからこそ、酒を飲みながらこの文章を書いています。書く時は基本シラフでやらせていただいている…