[No.000]

日記以上、遺書未満。

2024-01-01から1年間の記事一覧

N.0443 地図にない街

目的をもって生きることが美徳として扱われているけれど、なんとなく流れに身を任せていたらここまでたどり着いた、という生き方。これもまた人生、悪くないのではないだろうか。 地図があればわかりやすい。目的地点が定まっていればもっとわかりやすい。自…

N.0442 包丁は握らない

「わたしは料理ができません」 人生のなかで決めていることがあって、それは「料理をしない」ということです。一人暮らしをはじめた時なんかは使えるお金が少なくて、いわゆる自炊とやらに取り組んでいたんだけど、もうこれが本当にストレスなんである。お弁…

N.0441 星空

周囲の反応ばかりを気にしていると、自分が薄らいで揺れる。それはまるで灯火みたいに、たくさんの風に吹かれて、最後には消える。 自分がどうしたいか、なにをしたいか、どのような自分で在りたいか。ただそれだけが全てだった。こうした方がいいよ、って周…

N.0440 そういえばそうだった

空白の時間を味わうことが、ずっとわたしは好きだった。意味のない時間、意味のない空間、意味のない自分、意味のないものばかりで敷き詰められた、過去になる現実。生き急いでばかりの日常、そんな当たり前のことも忘れてしまう。なにもない時間こそが、わ…

N.0439 贅沢の本質

あなたにとって「贅沢」を感じるときは一体どんな瞬間でしょうか? 美味しいご飯を食べたとき、ちょっと高いお酒を飲んだとき、欲しい服を買ったとき。人によって様々だとは思うけど、その大抵が「なにかを手に入れた瞬間」なことが多い。 これを自分事とし…

N.0438 心の声を大切に

凝り固まった常識や論理ばかりで頭のなかが雁字搦め。あれもしなきゃ、これもしなくちゃ。美しいから愛される、愛されないから美しくない。「○○だから○○」の公式に囚われてばかりで、心の声はいつだって二の次だった。日々、忙殺されるなかで少しずつ萎んで…

N.0437 どうせ俺たちは生きている

友人が経営するBARで飲んでいた。カウンターに常連客が整列するなか、明らかに場違いなわたしに優しく話しかけてくれた隣人。優しいお兄さん。年齢は三十台後半、容姿は若々しく、とても気さくな雰囲気を醸し出している。 「いやぁ、さっき話し聞いてて面白…

N.0436 裏と表のどちらかを

思っていないことをあたかも思っているかのように言葉にするのって、実はどうにも簡単である。でもそれって、自分を裏切るということじゃないですか? 自分に対する信頼をすこしだけ削ぎ落とす行為だと思うんです。はじめはほんの一欠けらでも、気がついたと…

N.0435 あたり前のことなんて

「あたり前のことに感謝しましょう」 賢人は言った。今日目覚めること、住む家があること、家族がいること、友人がいること、仕事があること、お金をいただけること、ご飯が食べられること、愛すること、愛されること、眠れること。それらを統合すればこれ即…

N.0434 故郷の香り

小学生の全てを過ごした場所を歩いた。以前から歩いてみたいと考えていたものの、実行するまでに十年以上かかってしまった。特に深い意味はない、何となく”いま”のような気がしたのだ。人生が動き始めている、この瞬間に一度過去を味わう必要があった。 当時…

N.0433 人の沈む音がする

久しぶりにちょっぴりダウナー、ここ最近はずっとずっと動いていたから、文字通り「考えている暇」がなかったんである。ネガティブなこと。暇は人間を駄目にするとはいうけれど、必ずそうとは限らないと信じているけれど、自分の場合はどうにもその公式がバ…

N.0432 美人は虐げられる

「どうもお前は八方美人過ぎるところがある」 昔、父親から言われたことがずっと頭中で渦を巻いて今でも時折よみがえる。その日から持っていた優しさが少しずつ、ポッケの隙間からこぼれていった。目の前にいる人に楽しんでもらいたいだけなのに、心地好くな…

N.0431 優しさの不在

「あの時、もっと優しくしておけばよかった」 ふと頭に過ぎるひとつの考え。積もり積もった後悔に覆われた心のなかは、不思議と少しだけ温かかった。優しさに関する後悔が、次々と浮かんでは消えてごめんねさようなら。あの時、あとほんの少しだけ、寄り添う…

N.0430 散文としての人生

たった一日、今日を生きることだけを考えながら、見えない明日に向かって歩く。息苦しさを感じているのはわたしだけで、嗚呼、世界はこんなにも愉快であった。心のなかに鬱屈を飼っていない人間など、存在しないのだ。誰しもが時として絶望を味わい、救いを…

N.0429 春を摘む者

たとえば、親の愛が絶対的なものだったとして、それに裏切られた少年少女は何を拠り所にして生きていればよかったのだろう。信じたいものを信じながら生きることが人間の定めならば、いっそのこと人間なんてやめてしまいたかった。ただ愛されたかった、それ…

N.0428 あまりにも適当なこの世界で

神経質。幼い頃から言われてきた、これはただの性質、これはただの性格。なにかにおいて気になることが多いらしい。あらゆる部分に不足や欠如を見出している、これも一種の才能なのかもしれない。ただ、気になっているその瞬間は、とってもしんどいのだ。い…

N.0427 どうかその時は一突きで

知らず知らずのうちに誰かのことを傷つけていること、あるんだろうなと思う今日この頃。良かれと思ってやったことが全くよろしくなかったり、ふとした一言が刃物になってしまったり、相手を抉ったことに気づかないまま「じゃあね」と一言通り過ぎる。後から…

N.0426 日日是日常

自分の直感に従い生きるようになって早一か月が過ぎた。たった三十日程度なのに、日常がてんこ盛りで驚きを隠せない。これまでの自分では考えられないほど、たくさんの人に会って、お話しして、人の温もりを再認識することができた。なんか皆、優しいんであ…

N.0425 緩やかな薄闇

薄闇のなかを歩いている。そう思っているのは自分だけで、本当は快晴の朝、夕暮れ時、いつでもどんな場所だって歩く事が可能だった。この暗さを選んでいるのは自分自身、それなのにどうして「なにも見えない」だなんて言うのだろう。すべてはあなた次第だっ…

N.0424 ミラーニューロン

どれだけ行いが善い人であっても、ふとした瞬間に罪の芽が垣間見えることがある。人間の誰しもが善人ではない、なんてことわかってる。完璧など有り得ないのだ。そうわかっていても、その瞬間には驚きを隠すことが難しい。例えば、困っている人がいるのに見…

N.0423 海の中に浮かぶ

久しぶりに二日酔いである。昨日はそこまで量を飲んでいないのに、見事な迄に惨敗。頭が痛くて気持ち悪くて、夕方頃まで動けなかった。以前なら二日酔いは慣れっこで、「こんな一日も悪くない」なんて思えていたけれど、今この瞬間、二日酔いで消えた一日が…

N.0422 花を見ること

仕事終わり、気心の知れた間柄の三人で花見をした。ちょうど会社から歩いてすぐの場所に染井吉野が咲いている公園があり、各々が飲み食いしたいものを持ち寄った。コンビニで約1200円の買い物、アサヒスーパードライ、レモンチューハイ、おつまみ、駄菓子。…

N.0421 在りたいわたしのつくり方

「俺はキムタクにはなれないが、キムタクも俺になることはできない」なんて軽快な一文をネット上で見かけた。クスっとなるようなジョーク、それと共に「なるほど」と考えさせられる部分があった。 わたしはなにかと憧れやすい性質で、これまでの人生ずっと誰…

N.0420 高層マンション

タワーマンションや集合団地、たくさんの人が収納されている大きな建造物。深夜になっても明かりがついたままの部屋、ずっと締め切ったままのカーテン、ブラインドに積もった埃。快活に生きている人もいれば、精神を病んでいる人もいる。ワンオペ育児に悩ん…

N.0419 夢の中で泣いている

ストロングゼロを飲んで寝落ち、つけたままの照明が眩しくてそれでも消灯は難しかった。薄い夢のなかで実家に帰っているのはわたし。たくさんの緑に囲まれた家、そうそうこんな感じだったけ、現実とはかけ離れた建造物。お邪魔します、ただいま、久しぶり、…

N.0418 ほんの少しの失望を

「きみはその感情を必要としてるよ」 わたしのことをよく知る友人からこんなことを言われた。もっと簡単に、楽に生きていたいだけなんだけどなぁ。漏らした一言とは裏腹に、わたしはこの息苦しさを必要としているらしいのだ。そして、自ら選択した落ち込みの…

N.0417 純心の正体

可愛いがっていた、というよりも可愛いがられていた、年下の女の子がお勤めを満了された。正確に言えばわたしも既にその仕事をずっと昔に辞めていて、時たまヘルプで手伝う程度なのだけど。いつも優しく見守ってくれて、なんて出来た方なんだろうかと思って…

N.0416 番

なんだか寂しいと感じる夜は、見えない番のことを探している。消えない傷ばかりを眺めている、スコッチを吞みながら夜を哀れみながらただ少しずつ死んでゆく。感情を焼く幾つかの炎はいつになっても消えなくて、消えなくて、笑いながら火の粉を飛ばす。どこ…

N.0415 新規登録

なにか新しいことをはじめようとした時、ワクワクする自分がいる反面、行動を抑制しようとしている自分がいることに気がつく。恒常性維持機能、現状維持バイアス、色んな呼び名があるけれど、結局のところは怖いのです。変わること、願っているはずなのに、…

N.0414 選ばれなかった者たちの

たとえば、人間にそれぞれ価値があったなら、それを数値化する方法ってなんなのだろうか。たとえば、資産額。たとえば、人脈。たとえば、フォロワーの多さ。現実として、お金は切っても切り離せない、人との繋がりはとても大切なんだけど、それらを数字に現…