[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0441 星空

 

 周囲の反応ばかりを気にしていると、自分が薄らいで揺れる。それはまるで灯火みたいに、たくさんの風に吹かれて、最後には消える。

 

 自分がどうしたいか、なにをしたいか、どのような自分で在りたいか。ただそれだけが全てだった。こうした方がいいよ、って周りの意見。時には大切で耳を傾けることは大事だけれど、受け取らなくてもよろしい声の方が、この世の中にはたくさんたくさん溢れている。そんな声に従ってばかりいると、個性はもちろんのこと挙句の果てには自分でなんにも決められなくなっちまう。そんなのって、息苦しいじゃない。正解を決めるのは自分自身、誰も責任などとってくれはしないのだ。

 

 生きることについて考えるとき、人は己との対話を試みる。少しずつ少しずつ、理想と現在の溝を埋める中で、いまの自分に足りないものが見えてくる。足りないからといって、急いで充足させる必要はなくって、寧ろ足りないままの自分で生きていく。そう決めることもこれまた充足の獲得、自分を受け入れることになる。ほんの少し、心が軽くなる。

 

 もうさ、幸せになってしまえばいいよ。わたし達。いまこの瞬間から気付くことができる。たくさんの痛苦が散らばるなかで、僅かな幸せだけを搔い摘む。一つひとつは小さくて細やかなものかもしれないけれど、寄せ集めて抱きしめてあげれば、それは温かいベッドになる。その中で眠って、たくさん眠って、心と身体を労わってあげて。もうこれ以上眠れないとなった時には、空を見上げてみてほしい。そこに広がる星空の向こう側、きっとあなたの心を表しているから。自分のこと、蔑まないで、卑下しないで、傷つけないで、不幸になろうとは思わないで。愛して、愛して、ただひたすらに、認めてあげて。