[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0450 導かれるままに

 

 インプットに対する不足感が猛威を奮う。良い映画を撮りたければたくさん映画を見る必要がある。良い本を書きたければたくさん本を読む必要がある。良い音楽を作りたければたくさん音楽を聴く必要がある。腹の中に”何か”がなければ、吐き出すことは叶わない。表現を続けたいのが本心で、その為にはやはりたくさんのインプット。美しい芸術作品に触れる時間が必要だった。

 

 上手く時間を使えているつもりでいたけれど、全然そんなことなかった。ちょっと辛くなったからといってアルコールへの逃避行、それだけでその日一日が終了する。なにしてんの、なにしてるのよ、君。棄てたその時間で本を一冊読むことが出来たのに、映画を一本見ることができたのに、曲の歌詞を書くことができたはずなのに。どうにもこうにも、本気ではないというか、真摯に向き合えていなかったのだ。「明日から頑張ります」だなんてダサイことを本当に考えていました。明日からは、明日からは、何度も言い続けて一年が過ぎ去りました。形としてなんにも残りませんでした。今日、いまこの瞬間から変わらなければ、明日が変わることなんてないのにね。本質がなんにも見えていなかった、今となってはそう思える。

 

 自分の実力を知ることが、目の当たりにすることが、挑戦することが、心のどこかで恐ろしかったんだよなぁ。自己否定を繰り返すことで、実力を正当化しようとしていた。そんなことしても、自分が傷だらけになるだけなのに、痛い思いをするだけなのに。でもね、あれも、これも、それも、どれも? その全てが無駄なんかではなかった。いまはとても落ち着いていて、フラットな自分、ニュートラルな心で、世界のことを眺めている。今日から世界を変えられる、わたしの世界、自分の世界を更新することが出来る。いまのわたしは美しいものを渇望していて、渦の中に飛び込みたいと考えています。思い返せば、これまでの人生、たくさんの芸術に出会ってきた。友人から紹介された映画、インターネットでたまたま見つけた音楽、本屋で輝いて見えた小説、存在そのものが芸術のような美しい人。出会ったものすべてに色とりどりのセンスが散りばめられていて、わたしはその素晴らしい感性を吸収したいのです。熟成して、熟成して、さらに熟成して。わたしは自分自身をこの世に産み落としたい。大きな呼吸を生み出してやりたいのです。もう言い訳することは止めにしませんか? 今日から、いまから、この瞬間から、変わることが出来るんだよ。人間としての自戒、人生ってやつが面白くなってきた。