[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0404 いまこの瞬間を生きて

 

 なんにもしていない、と言えば嘘になってしまうけど、二十時間ほど眠り続けても世界は何一つ変わっていなかった。「いまはゆっくり休みことが先決です」優しい言葉が欲しかった、他の人から言われたかった。医者ではない誰かから。生きていることを肯定して、わたし自身で肯定して、どうしてもその姿が滑稽で、優しい手の温もりを探してしまう。夢の中、現れるのは好きな人ばかりで、目が覚めれば散らかる小部屋にわたしがポツリ。もうなんにもいらない、小説も、映画も、お酒も、なんにもいらないから、誰か一人だけ側にきて、笑って。起き上がれないわたしのことを、笑って。汗まみれの醜い獣を、笑って。お粥さんできたよ、笑いながら言って。もうどこにもいかないで、ずっとずっと側にいて、言いながらまた眠って。