[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0453 役者

 

 成りたい自分の理想像、すでに手にした感覚で生活する。富が欲しければ、既に自分は富んでいると思って生活する。余裕が欲しければ、既に余裕を獲得していると思って生活する。愛されたければ、既に愛されている自分として生活する。そうすると、なんだか心地良い気持ちでいい感じ、思い込みの力とは偉大なのだな。考え方ひとつでこんなにも生き方が変わるのなら、成りたい自分を演じること、悪くないのではないか。

 

 役者。家族の前で見せる顔、会社のなかで見せる顔、友人の前で見せる顔、顔、顔。自分だけに見せるその顔は、ありのままを体現できているだろうか。素顔。現在のわたしを受け入れた上で、理想的なわたしを追求する。理想と現実の落差を感じられないほどに、理想的な自分自身を日常に落とし込む。信じる力、想いを明確にする力、自分を表現する力。美しさ、愛、愛、魅力とか余裕とか色香とか。すでに全部持っている、手にしている、そんな勘違いのまま生きていければ。それだけのことで、少しだけ心が軽くなる。すべては大丈夫、わたしはいまこの瞬間に存在している。鏡に向かって、何度も、何度も、言っている。あなたはどうしようもなく、美しいのだ。

 

「愛されたいというよりも、誰かに優しく包み込まれたいんじゃない?」

 

 温かいコーヒーを飲みながら、今日も文章を書いている。明日も明後日も同じことをしている。そんな日常に生かされて、今日という一日がわたしを優しく包み込んだ。もう、誰かのなにかを羨むことも、自分自身を嘆くことも、悲劇を継続させることも、その何もかもがいまのわたしには必要なかった。友人が放った一言が、わたしの心を浮き上がらせる。自分だけでは気付けない事、たくさんたくさんあるんだよな。だからわたしは、たくさんの人とお話がしたい。いつまでも心の対話を続けたい。そんな理想像、きっかけとしての文章と言葉。あなたとゆっくり、お話しがしたいのです。薄暗い部屋で、深い話しを、明るい表情で交わしながら。温かいコーヒーを飲みながら。