[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0461 喉にスコッチ

 

 ごちゃついた頭の中、思考が上手くまとまらない。常に思考がスッキリしていたい、というのも一種の強迫観念なのだろうか。こんな時、上手く身動きが取れなくなる。視野が内側ばかりに狭まって、なんとなく行き詰まり感。どうしようもないことをどうしようもないまま放置することが苦しくて、どっちでもいいことをどっちでもいいことのまま片づけることに耐えられなくて、なんだか眼球が爆発しそうになる。わたしを悩ませる微少の種よ、どうか救いを与えて下さい。誰か、わたしに曖昧の概念を叩き込んでほしい。頭の中がごちゃごちゃとする、この感覚が、余計なことばかりを呼び寄せているみたいで、清潔なホテルの一室に引きこもっていたい気分になる。最高、やっぱり最低、最高、最高、もうどうしようもないほどに、最低。

 

 気持ちがいいことばかりに集中して、余計なことは取り入れない。そんな生き方が出来ればいいのに。「いつもお世話になっております」なんて思ってもいないことを言わなきゃならん世の中だから、人生から”余計”を排除することは難しい。このような鬱屈とした考えばかりが頭に浮かんで、心が少しずつ滑らかに削られていく。随分と擦り減ってしまった、とは考えるものの、元の大きさを思い出すことができなかった。いつの間にか、こんな場所にたどり着いていた。きっと大丈夫、そう思いながら今日までを生きた。死にたいと思い続けた過去は間違いではなかったし、生きることを受け入れた現在が正しいなんてこともなかった。ありのまま、あるがまま、ちゃんと自分のあたまで考えて、生きてる。誰かの言いなりになんてならずに、今日のなかを生きていた。

 

 暗い場所が好きだった、目が痛くならないから。寂しそうにしている人が好きだった、話していると楽しいから。そうだ、今夜はBARへ行こうと思い立つ。一室に引きこもっているばかりじゃ寂しいじゃないか。このまま終わってしまうなんてあまりにも勿体無い。星は輝き、地球は回る。わたしが生きて、知らない誰かも、大切なあなたも生きている。もうそれだけでいいじゃないか。鬱屈としていても、悩ましいばかりの日々も、夢から覚めた後の孤独感も、そういった何もかも全部、どうでもいいことだった。嗚呼、いまは限りなく馬鹿になって、喉にスコッチを流し込みたい。