[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0502 夢の中で見た君へ

 

 決して長いとはいえない睡眠の中で、とても長い夢を見た。夢の内容は覚えていないのだけれど、なんだか頭がすっきりとした。ただ一つ、最後にもう一人のわたしが現れて、淡々と優しく心強い言葉をかけてくれたことは覚えている。冷静に励ましてくれた。わたしは泣きそうになりながら、その話をただジッと聞いていた。

 

 こんなにも自分の形に自信が持てなくなるなんて、一体全体どうかしてる。そろそろ再開せねばならぬな運動、生きるとは身体を動かし続けることだ。どうにもこうにもやる気にならん倦怠を言い訳にして、どんどん下り坂の精神がここにある。鬱々としながらでもいい、とにかくあたまの中を空っぽにする必要があって、世間との繋がりを一時的に遮断する必要があって、独創的な発想を救出する必要があったのだ。それこそがわたしだ、無理して変えようとするから個性が悲鳴を上げている。この一過性の落下を全部夏の所為にしたいと思ったけれど、そんなことしてもなんも世界は変わらないね。

 

 なんだか自分を変えなきゃいけない、変わらなければいけない気がして焦ってジタバタしていたけれど、冷静に考えてみれば現在のままの自分で全然よかった。これまでを生きてきた証が自分自身であるし、無理して明るく振舞うことも、自ら破滅に向かうことも、そんなことに心を費やさなくてよかったんだ。変化ってやつは、自ら志願して渦の中に飛び込むことも出来るけど、自分には合っていないやり方だった。それよりも、気が付いたら変わってた、ぐらいの感じがちょうど良い。気が付いたら毎日ブログを書くようになっていた、黒い服ばかりを着るようになっていた、持ち物が少なくなっていた。あくまでも、変わろうとか、やってみようみたいな感情は小さなアクセントであって、その流れに身を任せる内に、知らない場所へ辿り着いていた。このぐらいの感覚が好ましく思う。なんとなく、ピアスを開けたいなとか。なんとなく、京都に行きたいなとか。そんな直感をなぞりながら、もっと緩やかに生きてみればいい。その果てに見えるのはどんな景色? 何も変わらないままの自分がいたとしても、いまこの瞬間はそれが正解だということです。少し落ち着いて冷静に、あたまを解放してやりたい気持ち。

 

 気が付いたら誰もいなくなっていた、とか。そんな変化も起こり得る人生だけど、その中で現在の自分は何をどのように感じている? その場でずっと泣いていても、誰もいないままで空しいね。違う場所に向かって歩き出すことで、知らない誰かに会うことができる。過去への執着こそがあたまの中を煩雑にしている。いまこの瞬間を、しっかりと生きてみたいものです。