[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0389 楽しい狂気がほしいのよ

 

 どうせ生きるなら、生きねばならんのなら、楽しいことしてケラケラ笑いながら生きていたい。おもしろくない、つまんない、なんも変わらないと言ってもそれは、昨日までのあなたが作り上げた世界。愉快で、ぶっ飛んでいて、目の前のことに無我夢中。そんな生き方、これまでの小さな小さなわたしの世界、大きな爆発を巻き起こしたいのである。

 

 狂気。人によって解釈は異なるだろうけど、わたしにとってそれは美しさと紙一重。人は理解できないものに恐怖を感じる、それと同時に知りたい欲求にも駆られている。恐怖の中に飛び込みたい、そう思わせる魅力が美しさにはあり、そこには狂気が存分に含まれている。だからわたしは、楽しい狂気がほしいのよ。愉快な狂いを求めている。もうおもんないと思い続けた人生、豊かだった環境は次第に枯れていく、もっともっとおもんなくなる。それは自分がそうなることを望んだから、踏み留まることを、つまらないことを選択し続けたから。すべて己のなかにあったんだね。いつまでも必死に掴んでいたんだね。

 

 それならばいっそのこと現状を爆発、今まで固執してたことはなんだったの? なんだか今日を重ねるごとに昔の自分を取り戻しているような感覚がある。もう出会えないと思っていた自分、良くも悪くも理解されなかった自分、弱くて強くて愛おしい自分。変わってしまった、どうしてこんなことになってしまったんだろう、そうやっていつまでも自分を責め続けて早数年、でもそんなん言うてもしゃあないね、現在の自分で生きて、これから変わり続けていくしかないのだな。そんな風に考えて、今日できることに夢中で取り組んで、一日はあっという間に過ぎ去るけれど、その日の終わりには少しだけ自分のこと好きになれてる。僅かながらに芽を出した自己愛が水分を求めている、育て育てよゆっくり育て。

 

 過去に戻ることはできないけど、これまで生きてきた事実を肯定することはできる。今までよくやってきたよなぁ、マジでお金が無かった時期、乾パンを食べて飢えを凌いだ時期、家を出たとき、一人が寂しくてたまらなかったとき、精神病になったとき、お酒に溺れていたとき、自殺するから人生がどうでもよくなったとき、大切なひとに会えなくなったとき。思い返せば優しい形をした過去、そっとわたしを包み込む。たくさんの苦しいことあったけど、そんな中でも笑っていた自分がいて、笑えていた自分がいて。泣きながら笑っていたこともあったね、それでも、どうしても、今日を生きてる。親を憎み、自分自身を憎み、世界を憎み、そんな自分に「ご飯を食べにおいで」なんて言ってくれる人がいること。こんなにも歪んでいるのに、一緒にお酒を飲んだり、話したりできる相手がいること、そして、素敵だと言ってくれる人がいること。なんだ、わたしはとっくの昔に愛されていたではないか。愛していなかったのは、愛されていなかったのは、わたし自身そのものだった。

 

 いまの人生は、結構いい感じと思えている。人生が変わる前には色々なことが起きるのかもしれない。落ち込んで落ち込んで落ち込んでいた期間がすごく長かった。色んな人に助けてもらいながら、時には一人で堪えながら、なんとか今日にたどり着いた。もう大事なもの、失うものはなんにもないから、もっと楽しくて愉快で美しいもの、たくさんたくさん見つけたい。人でも、物でも、場所でも、直感が叫ぶものたちに触れてみたい。理解できないこと、理解されないこと、そこに一つの狂気があって、大丈夫、わたしだけが美しさを理解していれば、狂気は魅力に変わるから。思い切り叫びたい、大声で、世界に向けて叫んでしまいたい。喉が潰れるその時まで、ずっとずっと叫んでいたい。意味がわからないと言われても、うふふやっぱりそうなのね、狂ってる。