[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0440 そういえばそうだった

 

 空白の時間を味わうことが、ずっとわたしは好きだった。意味のない時間、意味のない空間、意味のない自分、意味のないものばかりで敷き詰められた、過去になる現実。生き急いでばかりの日常、そんな当たり前のことも忘れてしまう。なにもない時間こそが、わたしを優しく包んでくれた。

 

 みんな俯いてばかり、携帯電話に没入してる。それでも小さな子供は笑ってる、ねぇねぇと身体に触れながら、見てもらうことを望んでいる。それでも小さな大人は素知らぬふり、後で後でねと先送りだらけ。現在をゴミ箱のなかに棄てている。そのうちみんないなくなる、時すでに遅し、誰も彼もが泣いている。

 

 なにもしなくてよかったのに。そばにいて、話して、笑って、触れ合って。それだけのことを望んでいた、簡単はどうしてこんなにも難しい? いつも苛立ってばかりいたね、忙しいそうに動いていたね。嗚呼、なみだ。やらなければならないことなんて、決して多くはなかったはずなのに。いらないもの次々と手放して、出来上がった余白にわたしを詰め込んでくれればよかったのに。いまさらこんなことを言っても変わらないね、過去も、未来も、あなたと、わたしと。