[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0341 惑星

 

 もうちょっと自分のやりたいことに集中して生きていたい。現代、気が散るものばかり色んな誘惑がこっちおいでと手招きしてる。ほいさほいさと身を委ねるばかりでは大切なこと、見失ってしまう。頭の片隅に追いやられた大切の欠片、声も上げずにただジッと俯いている。ごめんな、ないがしろにしてしまって、優先順位を入れ替えてしまって、自分にはできないと諦めてしまって。こんなこと続けてなんの意味があるんだ、なんて投げやりになっては自暴自棄。またまた自分に刃物ばかり向けちゃって、世界のこと敵だと思い込んでる。惑星はいつでもわたしの味方だった、人間として生まれたこと、言葉を獲得したこと、それはなによりも自然として流れ、やがて、俯いた顔を下から覗き込んであげると、目を合わせようとはしないけれどちょっとだけウフフ笑ってた。よかった、まだ元気を取り戻せそうだ。待たせてごめんね、綺麗な星よ。

 

 もうそれだけやっていれば生きていける。どこまでも遠くへ歩いていける。なにもかもをやろうとするから、中途半端に手をつけるから感性が上手く昇華されないわけであって、最初からわたしが取り組みたいこと、与えられた役割というのは決まっていたではないか。場所も、道具も、資料でさえも、その全てが揃っているにもかかわらず、今さら一体何を迷うの? どうして余所見するの? どうして自分自身を懸けられないの? 命を削るから狂気が生まれるわけであって、だからこそ狂気はどこか美しいのだ。いまのわたしに狂気はない、あかんわほんま生温い。

 

 見上げれば夜空、印字された世界が広がる。時間だけが唯一平等に分配されていて、その時間をどう使うか、ただそれだけのことを複雑に考えすぎている。そんなもん迷わず全ビット一択、他のすべてを諦める覚悟を夜のなかに散りばめた。どんどん世界との相性が悪くなっていく身体と、反比例するように活性化する精神。思い描く美しい生き方、次々と生活のなかに落とし込みたい。惑星はいつでもわたしの味方だった。最近どうにもペットに餌をやり忘れて餓死させてしまう夢ばかりみる。怖くて死骸を処理できないままのわたし、腐敗が進行する肉の塊、どうしようとパニックになったところで目が覚める。ホッ、まだ生きていてよかった、心。これはもしかすると無意識からの警告、これ以上ほったらかしにするとお前の夢、死んじまうよ。そうかそうか本当にごめん、そうだよな、夢にも生物にも栄養が必要不可欠だった。そして、すこしの温もりで活力を取り戻す。あたたかい毛布で包んであげる、ベッドに転がして抱いてあげる。一緒に絵本を読もう、世界中のなかでいちばん素敵な、この夜を味わおう。どこか恥ずかしそうに、きみはウフフ笑ってる。