[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0423 海の中に浮かぶ

 

 久しぶりに二日酔いである。昨日はそこまで量を飲んでいないのに、見事な迄に惨敗。頭が痛くて気持ち悪くて、夕方頃まで動けなかった。以前なら二日酔いは慣れっこで、「こんな一日も悪くない」なんて思えていたけれど、今この瞬間、二日酔いで消えた一日が悔しくてたまらないのだ。

 

 一日を意識的に生きるようになったからなのか、時間の喪失が本当に勿体無く感じる。本当は行きたい場所があったのに。ゆっくりとコーヒーを飲みたかったのに。たくさん本を読みたかったのに。たった一日、されども貴重な一日。なんだかとても悲しかった。去年はたくさんお酒で失敗したけれど、何だかんだで楽しかった。それがもう楽しいなんて思えない、心の余裕がゴッソリと削がれてしまうのだ二日酔い。

 

 ベッドにうずくまる中で、ずっと誰かのことを求めていた。それが誰なのかはわからないけれど、一人でいることが恐ろしかった。ずっとこのままなんだろうか、いつまでこの部屋に住み続けるのだろうか。思考はダウナーの道を突き進み、危うく以前のように自己否定に陥りそうになる。もう、わたしは自分の何もかも全てを許したのではなかったか? 一人であり続けることも、誰かを求めることも、それが本心から発されたものならば、自分を構成する一部分。それさえも受け入れること、そのままの自分で生きていくこと。いまはたくさん眠ること、起きたら文章を書く事、そしてのんびりご飯をいただいて、その後は再び眠りに落ちること。ただそれだけでいい、そんな一日のことを否定なんてしなくていい。

 

 なんて戯言が回らない頭のなかにぷかぷかと浮かび上がる。ずっと海の中で溺れているような思考が苦しい。生きていることが当たり前のように感じる日々は、いとも簡単に音も無く崩れ去る。それまでは、その時までは、意味の無いことを楽しみながら、どこまでも笑っていたいのだ。それさえも悪夢が見せる想いの欠片なのかしら、頭痛が響き渡る、なにもできないまま海の中、わたしはわたしを肯定していた。