[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.010 アヒルの子が泣いた

 

「感情的に体温を感じたい夜がある。」

 

 こんばんは、随分と久しぶりの更新となってしまいました。出来る限り毎日更新するように心掛けてはいたのですが、日々の業務に忙殺されておりました。「人間が持つ余裕の重要性」について文章をしたためていたのですが、急に出社することが決まり、業務が激増したことにより脳も身体も処理が追いつかない状態でした。約一年間に渡る半ニート生活による能力の欠落を痛感しております。以前はこれ以上の業務をこなしていたことが信じられない。余裕の重要性について書くどころか、自分自身が余裕を欠いてしまった。あまりにも皮肉な結末に笑いすら起こりません。同時に、やはり人間には余裕が何よりも大切なことを、改めて実感した次第です。

 

 もうええ、もうええ、もうええわ、わしゃ肩の力抜いて適当に生きるんじゃ、とAdoさんの如くやる気スイッチを廃棄処理した所に舞い込む山積みの業務。「起床→通勤→仕事→通勤→帰宅→就寝」あらゆる感情を削ぐフルコースを一週間味わいました。やる気なんかこれっぽちも起きなかったので「ストロング飲みながらやっていいですか?」と上司に問うたところ、「作業効率十分の一ぐらいに下がるやろ」との返答。ということは、作業効率さえ下がらなければ酒を飲みながら働いても良い。現在、作業効率を落とさないアルコールの摂取方法を募集しています。そして働かなくてもいい生き方も募集しています。ヒモ以外で。

 

 しかし、悪い面ばかりではなく、良い一面もありました。日々の中を忙しなく駆け巡っていると、感情が昂ることはないけれど、反対に落ちることもありませんでした。ネガティブな思考に陥る暇がない、そんな暇があれば眠りたい。結果的に精神衛生が整えられた気がします。そして、いかに睡眠効率を上げられるかが明日を乗り越える鍵となる為、アルコールを摂取していなかった。現在は一週間振りのアルコールを恍惚な笑みを浮かべながら嗜んでいる。”空腹は最高のスパイス”とはよく言ったものですが、”我慢は最高の快楽増強剤"とも言えるのではないでしょうか。

 

 この一週間考えていたことは、”書きたい、読みたい、酒のみたい、セックスしたい、眠りたい”でした。書き出してみると、願望ばかりで自分自身驚いています(そして全てをベッド上で完結することが出来ますね)。これら全ては生活上に余裕が無いと叶えることが出来ない、そのように思います。いざ叶えてみると大したことではない、願望とはそういった要素が多分に含まれている。それでも自分が抱く願望は出来るだけ叶えてあげたい。それが自分を可愛がるということ、それが自分を愛するということ、その総称を「優雅」と呼ぶ。わたしはそのように信じています。

 

 日常に余裕を持てない時は、誰かに会いたいとは思わない。”思わない”というよりも”思えない”が正しい。自分自身のことで精一杯になり周りが見えなくなる。現在もそんな状況に陥っている。明日からも目まぐるしい日々が回転を始める。そんな日々を送るなかでも、不意にセンチメンタルな夜が訪れることがあります。わたしが圧倒的我儘なことは承知の上で、今から家に来てくれないかな、何も話さなくていいからただ傍にいてくれないかな、とかとか。これが自分自身の弱さで、その弱さがとても嫌いで。それと同時に、その弱さを必要としている自分自身もいる。そんな対象的な自分に対して、辟易する場面が多々あります。一方で、そんな弱さを好ましく思う瞬間もある。そんな時は大抵心に余裕が在る時です。他人の強さよりも、弱さを愛せる人間になりたい。それは自分自身に対しても同じ様に思います。

 

 

 今日は道端で雀が死んでいた

 とても艶やかな朱色を帯びていた

 「今日はいい一日になりそうだ」

 ふと、そんな言葉が頭の中を過ぎったのでした