[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0587 安楽生

 

「どうしてこんなに苦しいのだろう」と感じる時、心の内では「楽に生きたい」という想いが行き場を無くし泣いている。それはそれは小さな声で、所在無さげに佇んでいる。

 

 素直になることができたなら、全てが大きく変わっただろうに。自分に嘘を吐き続けたから、ずっとずっと騙してばかりいたから、支柱がポッキリと折れてしまった。修復作業は大変ね、まるで他人事のように呟いている。

 

 もうそんなことは終わりにしませんか。物わかりの良い一部分が言っているけど、何をどのようにして終わりにすればいいのか、わからない、わかろうともしない、理解がそこに追いつかない。結局は苦行主義というか、自分でその苦しみを選択しているだけなのに。それだけは頭の中で解釈できているのに、身体が言うことを聞いてはくれない。行動が変わらなければ思考が動くことはない、いつまで経っても同じ場所を旋回しながら逃げている。

 

 一体なにから逃げているのだろう。きっとそれは自分自身、正面から見つめることが恐ろしいのだ。どうしてそう感じるのかわからないけれど、わたしと向き合うことが怖いのだ。余裕綽々で、スムーズで、余白がある人生を送りたい。定まった答えがあるにも関わらず、それを理想論だと小馬鹿にしている。まるでそれが不可能だと決めるつけるように、自分自身が呆れてしまっている。

 

 もうあれこれ考えるのは止めにして、素直にその理想論を掴み取りにいきませんか? もっと気楽に生きてみませんか? 辛い時は誰かに甘えてもいいんじゃないですか? 強くなろうとしなくてもいいんじゃないですか? 愛を求めることは悪ですか? 家族を羨むことは罪ですか? わたしは生きていてもいいのですか。