[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0637 silence.

 

 冬は唐突にやってきて、秋なんてなかったように思うけれど、時折感じる風の温もりが、四季の一部分を思い出させる。愛の名ばかりを手繰り寄せて、わたしはわたしのことを忘れていた。寒いね、と言い合える関係性は、わたしに生きることを教えてくれる。去れども、嗚呼、去れども。人はいなくなるばかりだけれど、小さな星が都会の夜空に浮かんでいて、さまようことを良しとせず、あなたのことだけを見つめている。静かに、この場所で、いつまでも。去りゆく背中を思い出しながら、微かな綺麗事を握りしめていた。