[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0358 酩酊の罠

 

 家にウイスキー瓶が一本ありまして、たしか数日前にノリと勢いに任せて購入したジャパニーズウイスキーでして、華麗なるまでに後悔しておりまして、やっぱりあったらある分だけ飲んでしまうから、ごめんなさい勿体無いけど排水口に流してしまおうと思ったところで放置されたままのウイスキー。今日は休みだし、外は雨が降ってるし、そこにウイスキーがあるのだから、一杯だけほんの味わう程度にハイボールを飲もうかしら。バカラに氷をカランコロン、ウイスキーを目分量注ぎ、炭酸水で空白を埋めた。なんていい休日なんだ、喉を駆け抜ける爽快とウイスキーが演出するガツンとした苦味。最高かよ、音楽に合わせてダンスダンス、踊りながらキーボードをタップタップ。気が付けば空になっていたグラスが可哀想に思えて、あともう少しだけ、二杯目の液体をシュワシュワ合成、やっぱり最高に美味いけど、頭がふわふわ何にもやる気にならないや。テーブルと唇を往復するロックグラス、ボーっとインターネットを眺めるわたし。こうなってはご飯を食べることもままならないから、贅沢三昧のモバイルオーダー、雨の中ご苦労様ですありがとうごめんなさい。三杯目、四杯目、だから言ったでしょう、アルコールに自制心を掲げることなど不可能なように思えた。もうなんだかわからんけど、こういう時、一人でなんの意味もなく飲んでる時、誰かとお話したくなる。LINEでメッセージを飛ばす、返ってくる、嬉しくなる、でも部屋のなかには自分一人で、やっぱりどうも虚しいのだね。外はとっくの昔に夜を迎えていて、ウイスキー瓶は空っぽになっていて、それでもどうにも眠れないわたしは、ベッドにごろんと横になりiPadをスクロール。インターネットはすぐに情報過多、翌日あたまがしんどくなることわかっていても、酒飲んだときはどうしても漂流、インターネット。あることないこと書かれてあって、それを酩酊が精査しているわけであって、見ている情報に価値などあったのでしょうかね。ないね、そこに意味はなにひとつ存在しなくて、やはり大事なことは全て現実のなかにだけその姿を現すのであった。なにを言っているんだろう、酩酊の後遺症であたまが少しハイになってる。あたまを振ればカランコロンと音がする、きっとどこかのパーツがウイスキーで溶けちゃった。どうしようもないね、それはもう、どうしようもないよねえ。なんだか淋しい午前模様、夜にはすっかり忘れて就寝。