[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0360 to be continued.

 

 ひとりで生きているという実感があって、それが孤独感かと問われるとそうではなくて、なんなんだろうかこの気持ち。へその緒を切断された瞬間にはじめて孤独を味わうわたしたち生命、生まれながらにして独り、死ぬときもまたひとりなのである。最近、だれかと手をつなぐ夢ばかり見るよ。手、ってすごいなと思う。手からは目に見えないなにかが放出されているんだろうか、美しい手。繋いだ手と手、解けるまでのあいだは一人ぼっちを忘れられる。サヨウナラ、手を振ることで温もりを滑らかに遮断する。サヨウナラ、さようなら、ひとりごちる夢の帰り道、いつまでたっても子供のままだ。

 

 どうして生きているんだろう、なんで生きてるんやろう。そう思う時、自身の存在意義を問う時、ポッと可愛い自殺願望がこんばんは。ひとは、他人などに興味がない。わたしだけが興味を抱えて、あらゆる類の好奇心を差し出して、その後一体なにが残ると言うのだろうか。嬉しそうな顔、素敵な顔、愉悦。帰り道の無表情、泣き顔、鬱。鏡がわたしの顔を覗き込んで、いつまでもそこで笑い転げてる。いい気味かい? それはさぞ心地よい感触、触れようとはしない細い首。縄を括り付け宙を舞う、ゆらゆらゆらり、ゆらゆらり。

 

 無音の部屋で流れる音楽がわたしの頭に語りかける。もう、全部投げ捨ててもいいんだよ、疲れたなら、やめてしまってもいいんだよ。そうね、そうだよね、どうしてこんなにも息苦しくて、自分がいなくなることばかりを考えているの。好い加減、好い加減、好い加減、いくら繰り返しても過剰にたどりつくわたしの精神、どうすれば深呼吸の中を生きられるんだろう。あたまの中が空っぽで、いくつもの静寂が積み重なり轟音。うるさい、もう全部うるさいと払い除けた左手が、すこし悲しそうに微笑んでいた。

 

 

 ごめん、どうして、泣かないで、生きて、静かで、豊かに、死んで