[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0334 四の五の言わずに

 

 大事なものがスマートフォンのなかに見当たらなくて、きっと現実のなかでわたしのこと、待ってるんだ。良いことの積み重ねで日々が好転していく、きっとその回転には悪いことの歯車も必要で、わたしはそのすべてのこと、ずっとずっと大事にしている。

 

 目の前のどこに大切なものが転がってるんだろう。意味のない言葉や感情たちが笑みを浮かべながら踊ってる。手をつなぎ、輪をつくって、いつまでも疲れることなく笑ってる。心のなかをほり進めるなかで覚えた痛みは、どうしてこんなに温かいの、どうして涙があふれてくるの、そんなこと何ひとつわからなくて、理解できなくて、とりあえずわたしも踊ってみた。えんやこんやさっさ、えんやこんやさっ

 

 あたまがおかしくなったと思われるかもしれないけど、おかしくならない方が可笑しいことで、ということは、世界の流れに順応している。溶け込んでしまった、知らず知らずのうちに。流れ込んできた、巡りめぐって一つの愛が。生きているだけで疲れる毎日の、嗚呼もうどうしようもないって叫ぶ日常の、中心部分であたまを解放するしかないのでしょう。記憶とか感情とかぜんぶ真っ白に吐き出して、きれいなキャンバスに好きなものを描く。あなたの顔はいつも泣いていて、おおきな水色が支配している。さみしさは藍色、孤独は灰色、純潔のキャンバスが瞬く間に染まっていく。ただそれを見ていることしか出来なかった。わたしはなにひとつ言葉を発しなかった。発せなかった。

 

 まわりの人たちと違うことは、それだけで素晴らしいことなのに世間の歯車がその輝きを修正しようとする。もうとっくに液体でベタベタ、テープでグルグル巻きにされちゃった。扱いやすい人間になりなさい、反骨精神はすてなさい。いいね!ばかりを求めている人間に、大切なものが見えているのだろうか? おかしくなってる、おかしくなってるよ、世界。いつまでも変わらないひと、ずっとそこにあり続けるもの。そういうのには興味はなくて、移り変わるもの、その本質だけをわたしはずっと眺めていたかった。きっと大丈夫、あらゆる不安も心配も、百年後にはすべてが灰。だからいまはなにも考えないで、夢中になって踊っていたい。自分のなかにある個性を諦めないで。輝きを見失わないように、ずっと大切に手入れしながら、水色の世界を描いていきたい。