[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0256 君と奏でるソリチュード

 

 孤独について考える時、頭の中は様々な人間の笑顔で埋め尽くされていて、これまでに与えてもらった優しさとか、愛情みたいなものが私のことを見つめている。孤独って、誰かと一緒にいても浮かび上がるもの。同じ空間に誰かがいるからこそ膨張する孤独感もある訳で、何時いかなる場合でもわたし達は孤独から逃れられないのかもしれない。

 わたしの場合それは集団の中で現れることが多くて、けれどもそれは疎外感とは異なるもの。別に仲間外れにされるのは構わないのだけれど、決してそうではなく、あくまで”仲が良い風”というか、交わされる言葉の一つ一つに多湿的な印象を感じたり、目の前に浮かぶ笑顔っぽい表情に対する果てしない違和感だったりする。何となく、その場にいる誰とも分かり合えない、それでも私はこの人たちのことが嫌いではなくて、どちらかというと好きなのである。感情の落差を修正する為に、積極的に会話を繰り広げるのだけれど、耳の穴の中みたいに真っ暗で空っぽな私がいて、自分の居場所がどこにも存在しないような感覚になる。大丈夫かな、わたしは上手に笑えてた?

 

 そういった孤独感は、一人きりの時に感じるものよりも心が痛い。”孤独”と”孤独感”はそれぞれに違う意味を持つ言葉。孤独とは頼る人がいなかったり、塞ぎ込んでいたりして、物質的にも精神的にも独りの状態を示す。一方、孤独感とは誰かが同じ空間にいるにも関わらず、心が孤独を感じている状態。家族がいても、恋人がいても、親友がいても、どこからか孤独感はやってくる。不思議だね。人間は社会的な生き物だからこそ、自我を保つ為にどのような状況でも孤独を作り出しているんだろうか。それも無意識に、ちょっぴり辛かったりすることもあるのに。

 

 これからもそんなことを思いながら、誰かと関係を築いていくんだろうな。さっきまですごい楽しくて嬉しくて最高だったのに次の瞬間にはスイッチがOFFになっていて、予兆も無く頭の中が孤独に支配される。何となく、どうしてそうなるのかは気付いているのだけれど、それ以上思考を進めることが出来なくて、やっぱり今日も気づかないフリをしている。無かったこと、見なかったことにして、孤独が去るのをただ祈るばかりだ。

 せめて、事前申告制にしてはくれないかしら? 急な勢いで迫られると、反射的に泣き出してしまいそうになる。世界の中に自分一人しかいなければ、孤独という概念は存在しない。自分以外の誰かが存在するから孤独も存在する訳であって、だからこそ多くの人は一人になる時間が必要なのかもしれない。自分の孤独と向き合う為に、誰かと関わり続ける為に。

 

 どうしようもなく人間は、独りぼっちだ。それ故に誰かを求める、だから私たちは愛を求める。あなたの孤独と私の孤独、共にソリチュードを奏でましょう。