[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0506 限りある心臓

 

 調子が良くても悪くても、一先ず決められたことを淡々とこなしていく。どうしても苦しい時は仕方がないけれど、潰れてしまわないように最低限のことはやっていたい。人生とは生活の積み重ねで、生活とは幾つもの一瞬が合わさったものだと思う。どうして生きているのかを考えるよりも、限りある心臓をどのようにして扱うか、そういう風に考えた方が人生は面白い。どうせ死ぬ、いつかはきっといなくなる。湿度は高く、天気は曇り空を指しているけれど、その状態が絶対悪な訳ではなかった。いかなる時も、自分は自分の中にいて、一人の人間としての行動を選択している。萎れたまま項垂れるも良し、散る覚悟を以て空を睨みつけることも良しなのだ。物事を深く考えることによって鬱が生まれると言われているけど、だとすればそれさえも一種の可能性、とことん向き合ってやることが大事。少なくとも現在のわたしには、それが何よりも大事だった。逃げようとして必死になるから疲れる、そして転んで怪我をする。そんなに恐ろしいものではなかったんだ、腰を据えて話しをするからこそ見えてくるものがある。大丈夫、大丈夫、って自分に言い聞かせるなかで感じることは、鼓を打つ心臓の温もりであった。なにも変わらなくても、そのままでも、わたしがわたしである限り、その何もかもが大丈夫。残されたこの心臓で一体なにが出来るだろう。一人で生きること、自分のためだけに生きることには、もう随分と疲れてしまった。愛されたいと願う星夜、七月。