[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0508 頭のなかの雑音

 

 休日、友人への贈り物を買いに繫華街へと出向いた。降り注ぐ日差し、溢れんばかりの日光が夏の恐ろしさを思い出させる。冬になるとすっかり忘れてしまうこの感じ、だから夏の思い出がほとんど生まれないのだ。夏は外にいるだけで精神が削られるから、家で大人しく過ごすことが多くなる。そんな中の外出、必要に駆られての外出。

 

 敷地内を埋め尽くす数多の観光客、思わずここが日本であることを疑ってしまう。人、人、人、そこに日本語は存在しない。追い打ちをかけるように高温多湿、眼球を刺す太陽光線。もう嫌だ、逃げ出したい気持ちになった。お日様に当たらないと鬱になるとか、そんなの噓だと怒鳴りたい。こんなもんに当たり続けている方が、人はおかしくなってしまうよ。現にわたしはおかしくなってる。脳が悲鳴を上げている。

 

 心はいつだって正直で、それに従うことでしか人は幸を認識できない。夏が大嫌いだ。幼い頃からその想いを持ち続けているけれど、年々その想いが強くなっている。遊んだり出かけたりするのなら夜がいい、夜はわたしの邪魔をしないから。それでも、最近といえば夜に起きていることが難しくなって、すぐに眠ってしまうんである。結局、わたしが活動的になることは無かった。家で文明の利器に冷やされていたい、もしくは、居酒屋でキンキンに冷えたビールを流し込んでいたい。しばらく続く憂鬱、夏。