[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0434 故郷の香り

小学生の全てを過ごした場所を歩いた。以前から歩いてみたいと考えていたものの、実行するまでに十年以上かかってしまった。特に深い意味はない、何となく”いま”のような気がしたのだ。人生が動き始めている、この瞬間に一度過去を味わう必要があった。 当時…

N.0433 人の沈む音がする

久しぶりにちょっぴりダウナー、ここ最近はずっとずっと動いていたから、文字通り「考えている暇」がなかったんである。ネガティブなこと。暇は人間を駄目にするとはいうけれど、必ずそうとは限らないと信じているけれど、自分の場合はどうにもその公式がバ…

N.0432 美人は虐げられる

「どうもお前は八方美人過ぎるところがある」 昔、父親から言われたことがずっと頭中で渦を巻いて今でも時折よみがえる。その日から持っていた優しさが少しずつ、ポッケの隙間からこぼれていった。目の前にいる人に楽しんでもらいたいだけなのに、心地好くな…

N.0431 優しさの不在

「あの時、もっと優しくしておけばよかった」 ふと頭に過ぎるひとつの考え。積もり積もった後悔に覆われた心のなかは、不思議と少しだけ温かかった。優しさに関する後悔が、次々と浮かんでは消えてごめんねさようなら。あの時、あとほんの少しだけ、寄り添う…

N.0430 散文としての人生

たった一日、今日を生きることだけを考えながら、見えない明日に向かって歩く。息苦しさを感じているのはわたしだけで、嗚呼、世界はこんなにも愉快であった。心のなかに鬱屈を飼っていない人間など、存在しないのだ。誰しもが時として絶望を味わい、救いを…

N.0429 春を摘む者

たとえば、親の愛が絶対的なものだったとして、それに裏切られた少年少女は何を拠り所にして生きていればよかったのだろう。信じたいものを信じながら生きることが人間の定めならば、いっそのこと人間なんてやめてしまいたかった。ただ愛されたかった、それ…

N.0428 あまりにも適当なこの世界で

神経質。幼い頃から言われてきた、これはただの性質、これはただの性格。なにかにおいて気になることが多いらしい。あらゆる部分に不足や欠如を見出している、これも一種の才能なのかもしれない。ただ、気になっているその瞬間は、とってもしんどいのだ。い…