[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0138 どうしてそんなに美しいの

 

 生活が退廃的になればなるほど、創造力が堕落していく。

 

 書くことも陳腐になるし、撮る写真にも感情が乗らない。それって私がやる必要のないことだと思う。わたしがやらなくても、他の誰かが出来ることだと思う。

 

 「そうやって、自分の無力さを嘆きながら、更なるデカダンスに陥る。」

 

 もうそんな馬鹿げた喜劇は止めにしませんか?、自分自身に投げかける。

 

 

 

 馬鹿馬鹿しい、もうすべてが馬鹿馬鹿しいわ。甘ったれたお前の思考回路に俺の感性を巻き込むな。惰性で創作を続けるのなら、そんなものは全部捨ててしまえ。

 

 命を懸けろ、言葉通りの一生懸命になれよ。生活のすべてを創作に捧げろ、評価は二の次でいい、力を振り絞って自分自身を表現してみろ。少なくとも、一か月前のお前からはその姿勢が感じられた。現在のお前は見る影もない、無残な姿を世に曝しやがって、一体どういうつもり?。そのままでいいと思ってるんか、甘ったれたお前の生活には反吐が出るわ。

 

 今ならまだ間に合う、早急に自分自身を整えろ。お前は間違いなく弱い人間、それに変わりはないんやから、弱いまま世の中に感情をぶつけていくしかない。ボロボロになって、傷だらけになって、世間から嘲笑されても、それでもお前は戦うしかない。戦うことでしか自分を表現出来ない不器用なお前が、誰よりも一番輝いてると思う。

 

 納得がいく作品を生み出すには、狂気が不可欠。甘ったれた現在のお前からは狂気を一切感じない。だから生み出すものすべてが俗的な汚物になる。もっと、自分を追い込め、もっともっと、お前は痛みの中に身を沈めるべき。存分に苦悩を味わって、その痛みを表現へと昇華していく。それがお前の生き方であって、同時に俺の生き方でもある。

 

 少しだけ変われた気がして、気が緩んだ。賞賛の言葉を受け取って、脳味噌が馬鹿になった。あほらしい、早急に死んでしまえ。夜の街をふらついてる場合じゃない、一人の空間で自分と向き合う必要がある。自分のことを言葉で刺して、その流血で更なる言葉を綴れ。ストイックに生きろとか、そういうことを言いたい訳じゃない。もっと自分を削れ、もっと精神をすり減らせ、壊れる寸前で踏みとどまるんじゃなくて、いっそのことぶっ壊れてしまえ。狂え、もっともっと狂ってしまえ。どこまでも、自分らしく踊り狂え。

 

 決して群れるな、生涯を独りで終える覚悟を持て。救いを求めるな、他人を狂気に巻き込んではいけない。自分自身との会話を忘れるな、それがお前を成長させる鍵になる。孤独を恐れるな、名作は全て独りの時間に生み出されてきた。甘えるな、苦しむことで精神が鋭敏になる。生み出すことを止めるな、生み出すことを止めるな、生み出すことを、決して諦めるな。

 

 世の中に蔓延るどうしようもない雑音はシャットアウトして、自分だけの世界を追求すればいい。それが自分らしさに繋がるし、何より感性が研ぎ澄まされる。それが自信に繋がり、更なる創造力を搔き立てることになる。時として世間の声は役に立つ、それでも自分の声が何よりも大事だ。もう何もかもが耳障りに感じるならば、一度自分で鼓膜をぶち破ってしまおう。そうやって、新たな自分の一歩を踏み出せばいい。