[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0140 紙袋

 

 猥雑な日常にうんざりとしていた。乱れれば乱れるほどに、自分の価値が消失していき見えなくなる。それでも生きなければ”ならない”、それすらも固定観念であることが何よりも頭を殴りつける。

 

 ”〇〇しなければならない”という考えは、大抵の場合バイアスがかかっている。単なる自分の思い込み。それは人生全般に言えてしまうことで、自身の生命すら例外ではない。困ったな、ものすごく満たされているのに、どうしても全て投げ出してしまいたい。精神が疲弊しているとか病んでるとかそんなんじゃない。ただ頭の中にあるすべての想いをプリントアウトして、宙にばら撒いてしまいたい。地に落ちた時にはゴミとして扱われ、わたしは不法投棄をした罪人と化す。

 

 スコッチで喉を痛めつけながら、鬼束ちひろで空間を満たす、最高。

 

 誰からの支援も受けずに、自分の力で生きている、最低。

 

 本を読み、今日も文書を書いている、最高。

 

 四捨五入すれば最高の人生、しなくても愛しい人生。大切なものほど壊したくなる、だから大切なものが増えるほど呼吸が苦しくなる。息が出来なくてどうしようもないから、自分を切りつけて誰かに気付いてもらおうとする。一体誰を求める?、それはきっと自分自身なのだろう。もうとっくに気付いていた、けれども見ないフリをして視界から”私”を消していたんだ。

 

 もういいよ、君は充分に素晴らしいよ。美しい花があれば燃やしたくなるでしょう?。だから君は自分を傷つけている。そこに咲く美しさを受け容れてあげませんか?水を与えて潤してあげませんか?それでも貴方は、燃やし続けることを止めないのでしょうか。

 

 セルフハグ、自分で自分を抱きしめる行為。こんな馬鹿げたことでオキシトシンが活発になる人間の脳味噌は、どこまでも都合の良い作りをしている。誰かとセックスをしなくても、自慰でエクスタシーを迎えることだって出来る。そういう一つ一つの事実をとても悲しい事として心が解釈する。それならばどうして体温を求めるのだろう、なぜ人肌に恋しているのだろうか。その答えを見つける為に、果てしない荒野の中を歩き続ける。どこまで行っても、回答用紙は落ちていないのに。

 

 

 この命すらも、ペラペラのコピー用紙に刷り込みたいな。

 馬鹿みたいね、もうそろそろ足が動かなくなるよ。

 それでも私は、止まる訳にはいかないからさ。