[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0383 圧迫感、

 

 美しいものに挟まれたい。潰されるでも、殺されるでも、飲み込まれるでもなく、ただ純粋に挟まれたい。ほんの少しの圧迫が欲しいのよ、生を感じることができないそれ以外の方法で。なんて、冗談は棚にあげて、自分は土の下に埋めて、外ではおびただしいほどの街灯がキラリと爆発。まぶしいばかりで全然美しくない、それは宝石もSNSもすべてがおなじ。右を向けばつまんない、左を向いてもつまんないですね、今日この頃。

 

 あわよくば、囲まれてみたい美しさ。どこを見渡しても良い香り、わたしの視野、すべて花弁で出来上がっているかのような、美しい世界、いつかは散る世界、先にわたしから散らせておくれと懇願するも、あんたはまだまだこれからよ。どうして愛することで生きようとするのかしら? 人は枯れるときひとりきり、なのに一人で生きられないのは、それはおおきな欠陥のように思えて悔しい。これもひとつの美しさ、そう思えるようになればいいんだけども、なかなかそういうわけにはいかないもので、それをつまんないと言うならば、きょうは早めにお眠りなさい。

 

 気が付けば今日も曇り空、ポツリと雨が降りそうな気配、傘をさして微笑むわたしには、もうなにもかもが灰色で微分量。まだまだ足りない、もっともっと欲しい、その気力を見失ったいま、手元にあるのは黒い傘とレインブーツ。灰色を塗りつぶす黒色が、一番なによりも美しいのよ。わたしには、とっても優しく見えるのよ。ただ理由もなく、美しいものに挟まれていたかった、囲まれていたかった。だからわたしはいつまでもセピア色、微笑、ほんのすこしの渇望を添えて。