[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0400 微笑みながら、泣いている

 

 その一言でだれかの心が動くのなら、もうそれだけでよかったじゃないか。ほんの少しだけ幸せになってくれたのなら、それが何よりも本望だった。どうして日々、わたしたちは言葉を吐き続けているんだろう。ずっと見えないなにかを探しているみたいで、それも手探りで、あてもなく一つひとつ掴んでは手放して。世界のなかに私だけが存在していたのなら、言葉や文字なんてものは必要なかった。そうかきっと伝えたいのだ、気持ちを。この想いを届けたいのだ。吐いた言葉は宙をひらひらと舞っている。時間差で予期せぬ誰かへと届くこともある。そこに善悪は存在しない。面白そうだなと思ったら、どうぞ手に取り感じて下さい。想いは言葉にしないと伝わらない、言葉にしてもほとんど伝わらない。百回好きというよりも、今すぐあなたに会いに行きたい。でもね、どうしても会うことが難しい時は愛していること、一度だけ言葉にして届けたい。電話でもいい、LINEでもいい、手紙でもいいね。言葉が人を形作る、気持ちを揺さぶる細やかな振り子は、今日も「愛してる」を往復する。伝えなきゃ、伝わらない。そんな当たり前のこと、わたしたちは緩やかに忘れてしまうね。