[No.000]

日記以上、遺書未満。

N.0379 純白のキャンバス

 

 行き詰まったときは一度ゆっくりと立ち止まって、空を見上げてごらんなさい。公園のベンチに腰かけて、身近な自然を感じてごらん。自分と向き合うことも大事だけれど、世界と向き合わない時間の方がもっと大事。日々、忙しなく日常を送るわたし達は、生産性と引き換えに本当に大切なことが見えなくなっている。そのことにも気づいていない、ただ闇雲に生きているだけでは、気づくことなんてなかったのに。悲しいね、でも人はそうやって生きていく。そして、やがて沈んでしまう、身動きがとれなくなってしまう。禁欲的に生きることも素晴らしいけど、それよりも、自分を解放して空の下を歩くこと、木陰で昼寝をすること、あなたと手をつないで歩くこと。心が求めていることはお金を必要としないものばかりで、どうしても人間というのは資本主義の下で踊らされていることを実感する。本当に必要なものなんて、存在しないのだ。自分の身体ひとつあれば、わたし達はいつだって自由を実感できる。いってきますを発することなく、重い荷物を携えて、歩くことはただの移動になっている、もうそうやって生きるのはこりごりだった。自由を実感するために歩いていたい、その気になればどこにでもいける、その為に大きな荷物は必要なかった。あたまのなかにある真っ白なキャンバス、純白を失うことが怖かった、だからなにも描くことができなかったけど、いまは感性に身をゆだね自由気ままに。見て、聞いて、嗅いで、触れて、味わって、感じて。